PR

食品ロスの現状を最新統計データで見る

テーブルに広げられた統計グラフの資料と、まだ食べられるのに捨てられそうな野菜や食品が並ぶ、食品ロスの現状を象徴するシーン 食品

「食品ロスって、いま日本でどのくらい出ているの?」——その答えを先にお伝えすると、農林水産省と環境省が2026年6月30日に公表した2024(令和6)年度の推計で、日本の食品ロスは461万トン。前年度の464万トンから、わずかに減りました。

内訳は、事業者から出る事業系が237万トン、家庭から出る家庭系が224万トンです。世界に目を向けると、FAO(国連食糧農業機関)の最新指標では2023年の食品ロス率が13.3%で、2015年からほとんど減っていません。

この記事では、この食品ロスの現状を、確認できる最新の統計データをもとにやさしく整理していきますね。数字が並ぶと少し身構えてしまうかもしれませんが、大丈夫。ひとつずつ噛み砕いてお渡ししていきます。

食品ロスの現状とは?最新の数字を先にチェック

まず結論から。日本の食品ロスは、2024(令和6)年度の推計で約461万トンです。この数字は、農林水産省と環境省が2026年6月30日に公表した最新のものなんですね。

「461万トンって、正直ピンとこない……」という声が聞こえてきそうです。私も最初はそうでした。

そこで、ぐっと身近にしてみましょう。単純計算ですが、461万トンを日本の人口でならすと、1人あたり年間およそ37kg。毎日に直すと、ほぼお茶碗一杯分のごはんを、一人ひとりが捨て続けているのと同じ量になります。

食品ロスとは、本来はまだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のこと。これには大きく2種類あります。

  • 事業系食品ロス:製造・卸・小売・外食など、事業活動から出るもの
  • 家庭系食品ロス:各家庭の食べ残しや使い忘れから出るもの

2024年度は、事業系が237万トン、家庭系が224万トン。家庭からのロスが全体のほぼ半分を占めているのが、日本の今の姿なんです。

今回の公表では、消費者庁が農林水産省・環境省とともに、食品ロスによる「経済損失」と「温室効果ガス排出量」の推計もあわせて行っています。食品ロスは、もったいないだけでなく、お金と環境の両面で私たちにのしかかっている問題なんですね。ちなみに、こうした食品廃棄物の処理には年間およそ2兆円ものコストがかかるとも言われています。

一方の世界。FAOの食品ロス指数(FLI)によると、生産から小売の手前までの段階で失われる食料の割合は、2023年で13.3%と推定されています。世界で作られた食べ物の1割以上が、私たちの口に届く前に消えている——これが世界の現状です。

まずは「日本461万トン・世界13.3%」という2つのものさしを、頭の片隅に置いておいてくださいね。


食品ロスの現状は減っている?日本の推移データで見る

「で、日本の食品ロスは減っているの、増えているの?」——これは多くの方が気になるところですよね。結論を言えば、長い目で見れば着実に減っています。

農林水産省の推移を、ざっと表で見てみましょう。

年度食品ロス合計
2012(平成24)年度642万トン
令和元年度570万トン
令和4年度472万トン
令和5年度464万トン
令和6年度461万トン

こうして並べると、10年ほどで180万トン以上減ったことが一目で分かりますよね。これは決して小さな成果ではなく、事業者の努力と、私たち消費者の意識の変化が、確かに数字に表れているんです。

特に事業系の削減は目立ちます。2024年度の事業系食品ロス237万トンは、2000年度と比べて57%の削減。半分以下にまで減らせたわけで、ここは日本が胸を張れる部分だと筆者は感じています。

ただ、少し丁寧に見ると、前年度からの動きには興味深い違いがあります。事業系は231万トンから237万トンへと6万トン増えた一方、家庭系は233万トンから224万トンへと減りました。全体では減ったものの、事業系がわずかに増えている点は、これからの動きを見守りたいところです。

そして全体の約半分を家庭が占める構図は、変わっていません。つまり、これからの食品ロス削減は、私たちひとりひとりの家庭の工夫が主役になっていく——そんな段階に入りつつあると考えられます。

その家庭の食品ロスは、大きく3つに分けられます。食卓に出したのに食べ切れなかった「食べ残し」、賞味期限切れなどで手つかずのまま捨てる「直接廃棄」、野菜の皮を厚くむきすぎるといった「過剰除去」です。どれも「言われてみれば……」と心当たりのあるものばかりですよね。

※画像はAIによるイメージ

世界の食品ロスの現状は?FAOの最新統計で比較

世界の食品ロスの現状を語るうえで欠かせないのが、FAOが公表しているSDGs指標12.3.1.a、いわゆる食品ロス指数です。ここが今回の記事で特に大切にしたい「最新統計」の中心になります。

FAOによると、収穫後・農場・輸送・保管・卸売・加工の各段階で世界的に失われる食料の割合は、2023年で13.3%。世界的なモニタリングが始まった2015年の13.0%から、ほんのわずかに増えています。

ここは正直にお伝えしておきたいのですが、この0.3ポイントの増加は、統計モデルの変動の範囲内で、各国の生産データの更新によるところが大きいとされています。ですから「世界的に悪化した」と大騒ぎするより、「2015年以降、世界の食品ロス削減は目立った進展が見られていない」と受け止めるのが誠実な読み方だと思うんですよね。

地域ごとの差は、なかなかに大きいんですよ。

地域2015年2023年(食品ロス率)
サハラ以南アフリカ22.1%23.0%
後発開発途上国(LDCs)―19.9%
小島嶼開発途上国(SIDS)―19.0%
東・東南アジア13.8%13.9%
北米・ヨーロッパ9.4%10.0%

いちばん高いのはサハラ以南アフリカで23.0%。反対にいちばん低いのが北米・ヨーロッパの10.0%です。

この差の背景には、収穫後の保管設備や輸送インフラ、いわゆるコールドチェーンの整い方の違いがあります。途上国では冷蔵・輸送の設備が十分でないために、せっかく作った食料が消費者に届く前に傷んでしまうケースが多いんですね。

そして、世界全体で見ると、1年間に生産される食料の約3分の1にあたる約13億トンが捨てられているとも言われます。先進国と途上国で「どこでロスが起きるか」がそもそも違う、という点は、世界の現状を理解するうえで大切なポイントです。

なお、食品ロスの定義や算出方法は国によって異なり、統一基準があるわけではありません。ですから国際比較の数字は「ざっくりした傾向をつかむもの」として眺めるのが、統計とのちょうどいい付き合い方だと筆者は考えています。


食品ロスの現状を品目別に見ると何が多い?

「どんな食べ物が捨てられやすいの?」という疑問にも、FAOのデータははっきり答えてくれます。

世界全体で見ると、果物と野菜のロス率が突出して高く、2015年の23.2%から2023年には25.4%まで上昇しました。およそ4分の1が失われている計算です。

傷みやすく、丁寧な取り扱いが必要な品目ほどロスが増えやすい、というのは、家庭の冷蔵庫を思い浮かべても納得できますよね。しなびてしまったレタスや、気づいたら柔らかくなっていたトマト……あの「うっかり」が、世界規模で積み重なっているわけです。

一方で、比較的安定しているのが穀物と豆類。2015年の8.5%から2023年の8.4%へと、わずかに下がっています。肉類・畜産物は13.9%から14.0%とほぼ横ばい、いも類・油糧作物は12.6%から12.3%へと少し改善しました。

こうして品目別に並べてみると、「野菜や果物をどう無駄なく使い切るか」が、世界共通の大きな課題として浮かび上がってきます。ここは家庭の工夫がいちばん効きやすい分野でもあるので、筆者としては希望が持てる部分だとも感じています。


食品ロスの現状を支える日本ならではの背景

なぜ日本でこれだけの食品ロスが生まれてきたのか。その背景には、日本特有の商習慣と、私たちの「品質へのこだわり」があります。

その象徴が、3分の1ルールです。これは、製造日から賞味期限までの期間を3分割し、最初の3分の1を過ぎた日までを納品できる期限、次の3分の1を過ぎた日までを販売できる期限とする商慣習のこと。

たとえば賞味期限6か月の食品なら、製造から2か月を過ぎると、もうお店に納品できなくなるイメージです。まだ十分食べられるのに、店頭に並ぶことすらできない食品が生まれてしまう仕組みだったんですね。

このルールは長く食品ロスの原因とされてきましたが、近年は「期限に合理的な根拠がなく、資源の無駄につながる」として見直しが進み、飲料や賞味期限の長い食品を中心に、大手小売でも2分の1ルールへの緩和が主流になりつつあります。政府もこの流れを後押ししていて、2025年6月には小泉農林水産大臣が小売大手6社の代表と面会し、米飯類などの食品ロス削減について意見交換を行いました。

ここで筆者が注目したいのは、事業系と家庭系の「減らしやすさの差」です。事業系が2000年度比57%も減らせた大きな理由のひとつが、この3分の1ルールの緩和のような“制度・商習慣の見直し”でした。ルールを一つ変えれば、一気に大きなロスが削れるんですね。

一方、家庭のロスは、一軒一軒の小さな習慣の集まり。制度で一気にとはいかず、だからこそ削減のペースがゆるやかになりやすい——ここに、家庭系がなかなか減りにくい構造的な理由があると考えられます。

もうひとつ触れておきたいのが、日本の食料自給率です。カロリーベースで約38%、つまり6割以上のカロリーを海外に頼っている国が、多額のコストをかけて輸入した食料を捨てている——これは経済的にも環境的にも、とても「もったいない」現状だと言えます。

環境面での影響も見逃せません。気候変動を評価するIPCCの報告書によると、2010〜2016年に世界で排出された温室効果ガスのうち、8〜10%が食品ロスに由来すると推定されています。捨てられる食べ物は、じつは気候にも重い足あとを残しているんですね。

2019年に「食品ロス削減推進法」が施行され、SDGsが浸透したことで、消費者の意識も確実に変わってきました。スーパーで手前の商品から取る「てまえどり」に協力する人が増えているのは、その何よりの証拠ですよね。

※画像はAIによるイメージ

SDGs目標12.3から見る食品ロスの現状と「達成」の意味

食品ロスの現状を語るとき、避けて通れないのがSDGs目標12.3です。これは「2030年までに、小売・消費レベルでの一人当たりの食料廃棄を半減させ、生産・供給チェーン全体の食料損失を減らす」という国際的な約束事なんですね。

日本はこの目標に向けて、2000年度の推計値を基準に、食品ロス全体を485万トンまで減らすことを目標に掲げてきました。そして2024年6月21日、この目標を「初めて達成した」と報道されたんです。

実際、2025年に開かれた大阪・関西万博の国連パビリオンでは、「SDGs12.3を達成した唯一の国として日本のサクセスストーリーを探る」というテーマのトークイベントも行われました。国際的にも、日本の取り組みが注目されているわけですね。

ここは明るいニュースなのですが、書き手として少しだけ丁寧に補足させてください。基準となった2000年度の数値は、食品リサイクル法に基づく定期報告制度が始まる前のもので、実測というより見積もりに近いデータだと考えられています。

ですから「達成」という言葉は、素直に喜びつつも、少し慎重に受け止めるのがフェアかなと思うんです。統計開始後の2015年の数値から見ると、削減目標は323万トンで、2023年時点で182万トンの削減が進んでいる、という見方もあります。どの基準で測るかで、達成の見え方が変わる——ここが食品ロス統計の、少し難しくて面白いところなんですよね。


考察:食品ロスの現状データから、筆者が読み取ったこと

ここからは、暮らしを見つめるひとりの書き手としての私見を、事実に基づいてお話しさせてくださいね。

今回、日本と世界の最新データを並べてみて筆者がいちばん強く感じたのは、「日本は健闘しているが、世界は足踏みしている」という温度差です。

日本の食品ロスは10年で180万トン以上減り、事業系は2000年度比で57%も削減、SDGsの国内目標も達成が報じられました。これは制度と消費者意識、両輪が回った成果だと考えられます。

一方で、世界のロス率は2015年からほぼ横ばい。ここに、食品ロス問題の本質が表れていると個人的には思うんです。つまり、豊かな国が家庭や小売の努力でロスを減らしても、途上国の収穫後インフラが整わない限り、地球全体の数字は動きにくいという構造的な壁があるんですね。

そしてもうひとつ、あまり語られない視点として筆者が加えたいのが、「達成」という言葉との付き合い方です。

日本の半減目標は2000年度という見積もりに近い基準に支えられており、統計の取り方次第で成果の見え方が変わります。数字が改善したこと自体は素晴らしいのですが、「達成したから、もう大丈夫」と受け取ってしまうと、家庭系ロスが全体の約半分を占める現実から目が離れてしまう。ここは注意したいポイントだと考えています。

しかも今回のデータでは、全体が減る中で事業系がわずかに増えました。制度で削れる「大きなロス」はある程度削り終え、削減の勢いが一本調子ではなくなってきた兆しかもしれません。筆者としては、日本国内のロス削減はこれまでの右肩下がりから、ゆるやかな踊り場に入っていくのではないかと見ています。

だとすれば、次に数字を動かす主役は、私たち一人ひとりの家庭です。しかも一人あたり毎日お茶碗一杯分という量は、裏を返せば「毎日ひと工夫すれば減らせる」量でもあるんですよね。冷蔵庫を確認してから買い物に行く、食べきれる量だけ注文する。そんな小さな一歩の積み重ねが、次の統計データを、そして温室効果ガスの数字までも動かす力になっていくのだと思います。


まとめ:食品ロスの現状を正しく知ることが第一歩

食品ロスの現状を最新統計で整理すると、日本は2024(令和6)年度で461万トン、長期的には減少傾向にあるものの、家庭系がほぼ半分を占めています。世界は2023年で13.3%と、2015年からほとんど進展がなく、地域差・品目差が大きいのが特徴でした。

数字はときに冷たく感じますが、その一つひとつの向こうには、まだ食べられたはずの食べ物があります。現状を正しく知ることは、決して重い話ではなく、明日の食卓を少し豊かにするための、あたたかな第一歩だと私は思うんです。

今日の記事が、あなたの「もったいない」を「じゃあ、どうしようかな」に変える、小さなきっかけになれたら嬉しいです。


よくある質問

日本の食品ロスは1人あたりに直すとどのくらいですか?

2024(令和6)年度の461万トンを日本の人口でならすと、単純計算で1人あたり年間およそ37kg。毎日に直すと、ほぼお茶碗一杯分のごはんを一人ひとりが捨てているのと同じ量になります。量が大きく見える食品ロスも、こう考えると日々のひと工夫で減らせるものだと分かります。

世界の食品ロスはなぜ減っていないのですか?

FAOの指標では2023年の食品ロス率は13.3%で、2015年からほぼ横ばいです。日本のような先進国が家庭や小売で努力しても、途上国では収穫後の保管・輸送インフラが十分でなく、消費者に届く前のロスが減りにくいためと考えられます。地域によってロスが起きる場所が異なることが、世界全体の数字が動きにくい一因です。

日本はSDGsの食品ロス目標を達成したのですか?

2024年6月21日、2000年度を基準にした食品ロス全体の半減目標(485万トンまでの削減)を「初めて達成した」と報道されました。ただし基準の2000年度は定期報告制度が始まる前の見積もりに近い数値のため、達成の受け止めには慎重さも必要だと考えられます。

星野 結衣(暮らしサポートライター)

タイトルとURLをコピーしました