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食品廃棄率の実態と廃棄量データまとめ

たくさんの食材とデータグラフが並び「食品廃棄」をテーマにした明るく分かりやすいイメージ 食品

日本の食品ロスは、農林水産省と環境省の推計で令和4年度(2022年度)に約472万トン。国内で供給される食用の食料のうち、まだ食べられるのに捨てられている量です。

こんにちは、暮らしサポートライターの星野結衣です。「食品 廃棄」「食品 廃棄率」で検索して来てくださったあなたへ、まず結論からお伝えしますね。

よく見かける「年間642万トン」という数字は、実は平成28年度(2016年度)の推計で、今の最新値ではありません。直近の令和4年度(2022年度)は約472万トンまで減っています。

この記事では、最新の年度の数字を前提に、「廃棄率って何の割合?」「世界と比べてどうなの?」「台所でどう計算するの?」という疑問に、ひとつずつ答えていきますね。

食品廃棄率とは?「国の割合」と「台所の割合」は別物

食品廃棄率という言葉には、実は2つのまったく違う意味があります。ここを分けておくと、数字がちぐはぐに見えなくなりますよ。

ひとつは、国全体で見た「食品ロスの割合」。農林水産省の資料によると、令和4年度(2022年度)の食品ロス約472万トンは、国内の食用仕向量に対しておおむね数%の水準とされています。

もうひとつは、料理や栄養計算の現場で使う「廃棄率」。こちらは、1つの食材のうち食べずに捨てる部分の割合を指します。

たとえばほうれん草の株元や、すいかの皮のように、調理で切り落とす部分の割合ですね。

同じ言葉でも、片方は国全体、もう片方は台所の中の話。混同するとニュースも献立も分かりにくくなるので、最初に切り分けておきました。

なお、ここで言う「食品ロス」は、まだ食べられたはずのものだけを指します。野菜の皮や魚の骨のように、もともと食べない部分まで含めた「食品廃棄物」全体とは別の数字なので、ニュースを読むときは区別しておくと安心ですよ。


日本の食品ロスは何トン?最新データを年度つきでまとめ

「で、結局いつの時点で、どれくらい捨てているの?」という一番知りたいところを、確認できた数字だけで、年度をつけて並べますね。

  • 日本の食品ロス量:令和4年度(2022年度)で約472万トン(農林水産省・環境省推計)
  • 内訳:事業系 約236万トン、家庭系 約236万トン(令和4年度・ほぼ同量)
  • 前年度(令和3年度)比:約51万トンの減少
  • 家庭系の1人当たり:年間 約38キログラム(家庭系のみの値)
  • 1人1日当たり:全体でおよそ100グラム強(茶わん1杯弱に相当)

ここで、以前よく語られた「642万トン」「家庭より事業系がずっと多い」というイメージは、年度によって変わる点に注意が必要です。

令和4年度は、事業系と家庭系がどちらも約236万トンでほぼ拮抗しました。「お店の無駄が圧倒的」でも「家庭が一番の犯人」でもなく、両方が半分ずつ、というのが最新の姿なんですね。

事業系の中身を農林水産省の区分で見ると、食品製造業が約117万トン、外食産業が約60万トン、食品小売業が約49万トンなどとされています。

一方、家庭系の約236万トンは、未開封のまま捨てる「直接廃棄」が約102万トン、食べ残しが約100万トン、皮をむきすぎるなどの「過剰除去」が約33万トンという内訳です。

こうして分解すると、「買ったのに手をつけず捨てる」直接廃棄の多さが目を引きます。これは献立や在庫管理の工夫で減らせる部分だと、私は見ています。

※画像はAIによるイメージ

世界の食品廃棄ランキングで日本は何位?

国全体を見たら、次は「世界と比べてどうなの?」が気になりますよね。

国連環境計画(UNEP)の『Food Waste Index Report 2021』は、2019年のデータをもとに各国の家庭系食品ロスを推計しています。そのランキングで、総量が最も多い国は中国、日本は14位とされています。

ただし大切な前提があります。この報告書の各国値は、実測ではなく統計からの「推計(モデル値)」で、国によって信頼度にばらつきがあると報告書自身が断っています。断定ではなく目安として読んでくださいね。

国名家庭系ロス総量(推計・2019年)1人当たり(kg/年)
中国約9,164万トン64
インド約6,876万トン50
米国約1,936万トン59
日本約815万トン64
ドイツ約626万トン75
フランス約552万トン85

この表の面白さは、一番右の「1人当たり」の列にあります。

総量なら人口の多い中国やインドが上位にくるのは自然ですよね。でも1人当たりで見ると、日本は約64キログラムで、米国の59キログラムを上回り、中国と同じ水準です。

総量ランキングでは14位でも、ひとりひとりの捨て方で見ると「少ない国」とは言えない。ここが、総量だけ眺めていると見落としやすいポイントだと考えています。

なお、この報告書の値(2019年・家庭系)と、さきほどの農林水産省の令和4年度の値は、集計の年も範囲も違うので、単純に突き合わせられない点も覚えておいてくださいね。


なぜ食品廃棄は起こる?原因は国の発展段階で変わる

「もったいないのに、どうして捨ててしまうの?」——その理由は、国の発展段階によってほぼ正反対になります。

先進国で多いのは「消費段階」のロスです。買いすぎて食べきれない、賞味期限が切れる、店頭の大量陳列で売れ残る、規格外というだけで野菜が捨てられる、といった形ですね。

一方、発展途上国で多いのは「生産・加工段階」のロスです。収穫や運搬が間に合わない、冷蔵・保管設備が整わず傷む、といったインフラ由来の損失が中心になります。

豊かさゆえのロスと、インフラ不足ゆえのロス。原因が違えば対策も変わる、ということです。

日本はもちろん前者。つまり、私たちの買い方・使い方を少し変えるだけでも効き目が出やすい側にいる、と前向きに捉えられます。


台所の「廃棄率」の計算方法は?可食部率とセットで理解する

ここからは、暮らしに直結する「食材1つあたりの廃棄率」の話に戻りますね。献立や栄養計算をする方には、こちらが本題かもしれません。

計算式はシンプルです。

  • 廃棄率 = 廃棄する部分の重さ ÷ 全体の重さ

全体80gのほうれん草で株元10gを切り落とすなら、10 ÷ 80 = 0.125、つまり廃棄率は12.5%です。

その反対が「可食部率」。食べられる部分の割合で、可食部率 = 1 − 廃棄率 の関係にあります。

さきほどのほうれん草なら可食部率は87.5%。廃棄率12.5%と足して100%になりますね。

この廃棄率は、文部科学省の日本食品標準成分表2020年版(八訂)に食品ごとに収載されています。果物を例にすると差が分かりやすいですよ。

食品廃棄率主な廃棄部位
いちご(生)2%ヘタ・果梗
りんご(皮つき・生)8%芯
すいか(生)40%果皮・種子
パイナップル(生)45%皮・芯
メロン(温室・生)50%果皮・種子

いちごはほぼ食べきれる一方、メロンは半分が廃棄部位。同じ果物でもこれだけ差があります。


発注量の計算にも「廃棄率」は欠かせない

給食や飲食の現場では、廃棄率がもう一歩進んだ使われ方をします。「発注量の計算」です。

食べてもらう量(純使用量)だけ仕入れると、皮や芯を捨てるぶん足りなくなりますよね。だから廃棄部分も見込んで多めに注文します。

計算式はこうです。

  • 総使用量 = 純使用量 ÷ 可食部率 × 食数

ほうれん草のおひたしを200食分、1食70g、廃棄率12.5%(可食部率0.875)でつくるなら、70 ÷ 0.875 × 200 = 16,000g。つまり16kgを発注すればよい計算です。

ただし成分表の廃棄率はあくまで目安です。文部科学省の成分表では廃棄率が5%以上だと5刻みの値になっており、個体差・季節差・調理のクセで実態とズレます。

一度は自分の厨房で実際に量り、「うちの廃棄率」を出しておくと、足りない・余りすぎるの失敗をぐっと減らせますよ。

※画像はAIによるイメージ

食品廃棄を減らす工夫と、海外の取り組み

数字で現状を知ったら、あとは行動です。気負わず、小さなことから始めれば大丈夫ですよ。

  • 外食は食べきれる量を注文する。初めての店は量が読みにくいので頼みすぎない。持ち帰り可否を聞くのも一手です。
  • 家では食べきれる分だけ作る。予定や体調を聞いておくと作りすぎを防げます。余りはリメイクへ。
  • 期限表示を正しく理解する。「賞味期限」はおいしく食べられる目安、「消費期限」は安全に食べられる期限。賞味期限は過ぎても状態を確かめてから判断すると、未開封のまま捨てる直接廃棄を減らせます。
  • 食材に合った保存をする。肉や魚は小分け冷凍、葉物は下ゆで冷凍など、一手間が長持ちにつながります。
  • フードドライブを活用する。賞味期限が一定以上残っているなど条件があるので、回収品目は事前に確認を。

海外に目を向けると、フランスは2016年に、一定規模以上のスーパーが売れ残り食品を廃棄すること自体を禁じ、慈善団体などへの寄付を義務づける法律を施行しています。「捨てさせない」という川上からの規制に踏み込んだ例ですね。

日本は、SDGsの「つくる責任つかう責任」を受け、食品ロスを2030年度までに2000年度比で半減する目標を掲げています。このうち事業系は、2000年度の547万トンを273万トンに半減する目標で、令和4年度(2022年度)の約236万トンはこれを前倒しで達成した水準です。


考察:日本の1人当たりが高止まりする構造的な理由

ここからは、ひとりのリサーチ好きな書き手としての私見を、事実に基づいて整理しますね。

今回いろいろな統計を読んで強く感じたのは、総量ランキングだけ見ると本質を見誤る、ということでした。日本は家庭系で総量14位(UNEP・2019年推計)ですが、1人当たりでは約64キログラムと、米国を上回る水準にあります。

では、なぜ日本の1人当たりは高めに出るのか。私は、情緒ではなく日本固有の「仕組み」に理由があると考えています。

ひとつは、鮮度志向と小分け・個包装の文化です。少量ずつ買える便利さの裏で、少しの傷みや期限切れで捨てる判断が早くなりがちです。令和4年度の家庭系で、未開封のまま捨てる直接廃棄が約102万トンと食べ残しに並ぶ規模だったことは、この「早すぎる見切り」を裏づけていると読み取れます。

もうひとつは、流通の慣行です。賞味期限までの期間を製造から3分の1ずつで区切り、納品期限を厳しく設定する、いわゆる「3分の1ルール」のような商慣習は、まだ食べられる商品を店頭に出す前に下げてしまう一因と指摘されてきました。近年は見直しも進んでいますが、構造として根深いと見ています。

こう考えると、フランスの廃棄禁止法のような川上の制度設計が効く余地は、日本にもまだ大きいはずです。消費者の努力だけに還元せず、商慣習や制度の側を動かす視点が、筆者としては欠かせないと感じます。

今後の見通しとしては、AIによる需要予測や鮮度の画像判定など、事業者側の技術活用がさらに進むと考えられます。令和4年度に事業系が半減目標を前倒し達成したことは、制度と技術の合わせ技が効き始めた兆しだと、個人的には受け止めています。

ただ、どれだけ技術や制度が整っても、最後にお皿の前に立つのは私たちです。「もったいない」という感覚と、年度つきのデータで現状を知る視点。この2つがそろったとき、数字は本当の意味で動き出すのではないか、と考えています。


よくある質問

日本の食品ロスは年間どれくらいですか?

農林水産省・環境省の推計で、令和4年度(2022年度)は約472万トンです。事業系と家庭系がそれぞれ約236万トンで、前年度より約51万トン減りました。よく見る642万トンは平成28年度(2016年度)の値で、最新ではありません。

食品廃棄率の世界ランキングで日本は何位ですか?

国連環境計画(UNEP)の『Food Waste Index Report 2021』(2019年データ)の家庭系ロス総量では、日本は14位とされています。ただし1人当たりでは約64キログラムで、米国を上回る水準です。各国値は実測でなく推計のため目安として見てください。

料理で使う「廃棄率」の計算方法は?

「廃棄する部分の重さ ÷ 全体の重さ」で求めます。全体80gのほうれん草で株元10gを捨てるなら、10÷80=0.125で廃棄率12.5%です。文部科学省の成分表の値は5%刻みの目安なので、実際に量ると精度が上がります。


まとめ

日本の食品ロスは、令和4年度(2022年度)で約472万トン。事業系・家庭系がそれぞれ約236万トンでほぼ拮抗し、「お店だけ」でも「家庭だけ」でもないのが最新の姿です。

世界ランキング(UNEP・2019年推計)では総量14位でも、1人当たりでは約64キログラムと高め。その背景には、鮮度志向や個包装、流通慣行といった日本固有の構造があると私は見ています。

国の数字も台所の一手間も、根っこはつながっています。年度を確かめて現状を知り、今日の献立からできることをひとつずつ。あなたの小さな選択が、確かに数字を動かしていきますよ。

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