パソコンの初期化ができない・進まない原因は、ほとんどが「回復領域の破損」「アップデート未適用」「BitLocker回復キー不明」の3つで、多くは回復環境(WinRE)からの再実行か、USB・DVDなど外部メディアでの再インストールで解決できますよ。
こんにちは、暮らしサポートライターの星野結衣です。
「パソコンを手放す前にきれいにしたいだけなのに、肝心の初期化が終わらない…」そんなご相談、実はとても多いんですよね。
買い替えや譲渡、あるいは動作が重くなったパソコンをリフレッシュしたい。目的はシンプルなのに、初期化という最後の一歩でつまずくと、本当に気持ちが折れてしまいますよね。
この記事では、Microsoftの回復オプション案内や、HP・ASUSといったメーカーのサポート情報、All Aboutの解説をもとに(いずれも2026年10月時点で公開されている内容を確認しています)、「なぜ初期化できないのか」という原因から、起動すらしない状態での強制初期化のやり方まで順番に整理します。
なお、この記事はWindows搭載パソコンが対象です。MacやChromebookは手順が異なるため、ここでは扱いませんね。
今あなたのパソコンがどの状態かで取るべき手が変わりますので、慌てず一緒に見ていきましょう。
パソコンの初期化ができないのはなぜ?原因は主に3つ
結論から言うと、初期化が止まる原因の大半は「回復領域の破損」「アップデート未適用」「BitLocker回復キーの紛失」の3つに集約されます。
そして対処の第一歩は、あなたのパソコンが「起動するか・しないか」で状況を切り分けることなんですよね。
Microsoftの回復オプションの案内では、トラブルを大きく2つのシナリオに分けています。
- シナリオA:パソコンは起動するが、遅い・フリーズする・初期化がエラーで止まる
- シナリオB:そもそも起動しない、ブルースクリーンやブラックスクリーンで止まる、再起動を繰り返す
パソコンが一応立ち上がるなら、設定画面からの初期化や、その前段階のトラブルシューティングが使えます。
一方で起動すらしないなら、青い画面の「Windows回復環境」や、USBなどの外部メディアに頼ることになります。
「設定から初期化を始めたのにエラーで止まる」ケースの多くは、初期化に必要な回復領域のデータそのものが破損しています。HPのサポート情報では、F11キーからの初期化が「自動修復」や「PCを初期状態に戻す際に問題が発生しました」といったメッセージで失敗する場合、回復領域の破損を疑うよう案内されています。
つまり初期化が進まないのは、あなたの操作が悪いからではなく、パソコン内部の仕組みがすでに傷んでいるサインのことが多いんですよ。
エラーで初期化が止まる時の対処法|Windows10/11が起動する場合
パソコンが起動するのに初期化だけ失敗する場合、結論としては「いきなり全消去せず、更新と修復ツールを先に試す」のが近道です。
まずはアップデートで土台を整える
All Aboutの解説によると、初期化中にエラーが出続けたり、フォーマット完了前に動作が止まったりする場合は、いったん操作を止めてOSやデバイスドライバーのアップデートを行うのが有効とされています。
UEFI(BIOS)のアップデートが効くこともあるので、こちらも確認しておきたいですね。
古い土台のまま走らせると途中で息切れしてしまう、というイメージです。
Windows標準のトラブルシューティングを先に試す
Microsoftは、混乱の少ない順に手を打つことを勧めています。具体的には次の段階です。
- 「設定」>「システム」>「トラブルシューティング」から組み込みの修復ツールを実行する
- 問題が最近のWindows Update後に始まったなら、その更新プログラムをアンインストールする
- アップグレード後10日以内なら、以前のバージョンに戻す
- Windows 11バージョン24H2以降なら、復元機能で復元ポイントまで巻き戻す
これらはファイルやアプリを残したまま試せるものが多いので、全部消す前の安全策になります。

正しい手順で「すべて削除」を実行する
譲渡や廃棄が目的で全部消したい場合、Windows 10 22H2なら「設定」>「更新とセキュリティ」>「回復」から、Windows 11なら「設定」>「システム」>「回復」から、PCをリセットできます。
ここで大切なのが、「すべて削除する」>「ローカル再インストール」>「設定の変更」と進み、「データのクリーニングを実行しますか?」と「すべてのドライブからファイルを削除しますか?」で「はい」が選ばれているかを確認することです。
この確認を飛ばすと、元のファイルが残ってしまうことがあるんですよね。
ASUSのサポートでも、リセット中は黒い画面が長く続き自動的に再起動する場合があると案内されています。Microsoftも15分以上画面が暗くなる場合があるとしており、ここで慌てて電源を切るとリセットが失敗する恐れがあります。
ACアダプターをつないで電力を確保し、待つ。これが一番の近道ですよ。
パソコンが起動しない時の強制初期化のやり方
Windowsが立ち上がらない、強制的に初期化したいという場合は、結論として「Windows回復環境(WinRE)」を呼び出すのが基本です。
「Windows回復環境(WinRE)」から初期化する
エラー発生時に青い画面が出ていれば、それが回復環境です。
ここから「トラブルシューティング」>「このPCを初期状態に戻す」を選べば、通常の初期化とほぼ同じ操作ができます。All Aboutの解説でも、この回復環境からの操作で初期化できないケースは少ないとされています。
勝手に再起動を繰り返す状態も、この回復環境が受け皿になります。
ただし注意したいのが、BitLockerで暗号化していて回復キーが分からない場合です。回復環境の画面にたどり着けても、キーを求められた時点で先に進めなくなります。「受け皿にはなるが、キーがないと操作は完了できない」と理解しておいてくださいね。
回復環境の画面を強制的に呼び出す4つの方法
その青い画面が出てこない時は、次を試してください。
- 「設定」>「システム」>「回復」から「今すぐ再起動」を選ぶ
- 事前に作成しておいた「回復ドライブ」から起動する
- スタートメニューで「Shift」キーを押しながら「再起動」をクリックする
- 起動直後に特定のファンクションキーを押す(キーはメーカーごとに異なる)
特に3つ目の「Shiftキーを押しながら再起動」は、今まさに画面が見えている状態からでも回復環境へ飛び込める方法なので、覚えておくと心強いですよ。
起動直後のキーは、たとえばHPは電源投入直後に「F11」キーを押す方式を案内しています。メーカーによって異なるので、分からない時はパソコンメーカーに確認するのが確実です。

BitLockerの回復キーを侮らない
Microsoftやメーカー各社の案内に共通しているのが、BitLockerという暗号化機能が有効な場合、回復環境のほとんどの操作に「BitLocker回復キー」が必要になるという点です。
このキーが分からないと、回復環境にたどり着いても先に進めません。
普段パソコンを使えている今のうちに、Microsoftアカウントなどから回復キーを確認し、メモや印刷で控えておきましょう。これがいざという時のお守りになります。
回復領域が壊れて初期化できない時は外部メディアで再インストール
回復環境からの初期化も失敗する場合、結論は「外部メディアからのWindows再インストール」です。パソコン内部の回復データ自体が壊れている可能性が高いからですね。
HPのサポートでは、F11からの初期化に失敗する状態では、DVDやUSBなどの外部メディアを使って初期化する必要があると案内されています。手順を整理するとこうなります。
- OSのインストールDVDを持っているなら、それを使って再インストールする
- 無い場合は、HP Cloud RecoveryツールやMicrosoft提供のメディア作成ツールでリカバリメディアを作る
- 動く別のパソコンでWindowsをダウンロードし、起動可能なUSBドライブを作って再インストールする
メーカー製パソコンなら、できれば製造元(OEM)が提供する回復イメージを使うほうが安心です。メーカーの回復イメージには、そのパソコン専用のドライバーや工場出荷時のアプリが含まれていて、汎用のMicrosoftインストールメディアでは入らないものを補えるからなんですよね。
ただし外部メディアからの再インストールは、原則デバイスのすべてが削除されます。残したいデータがあるなら、この手に出る前にバックアップを済ませておきましょう。
パソコン初期化後のデータ消去は完璧ではない|譲渡・廃棄前の注意
譲渡や廃棄が目的なら、結論として「初期化できた=データが完全に消えた」ではない、と知っておく必要があります。
All Aboutの解説によると、ファイルを消したりゴミ箱を空にしたりするだけでは、OSに登録したアカウント情報やブラウザに記録されたパスワードなど、内部にキャッシュとして残る情報は消えきらないとされています。
本当に復元できないようにするには、ストレージのデータを上書きする必要があるんですね。Windowsのリセットには、この点に配慮した選択肢が用意されています。
| 選択肢 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ファイルを保持する | 個人ファイルは残し、アプリと設定だけ初期化 | 調子を取り戻したい時 |
| すべて削除する(ファイルの削除のみ) | ファイル・アプリ・設定を削除し再インストール | 不具合の解消・短時間 |
| すべて削除する(データのクリーニング) | 上書きして復元を困難にする | 譲渡・売却・廃棄 |
HPのサポートでは、「ファイルの削除のみ」は10分〜30分程度で済む一方、復元を困難にする「ドライブを完全にクリーンアップ」は2時間〜6時間かかる場合があると示されています。
ここで誠実にお伝えしたいのは、Microsoft自身が「データ消去機能は一般消費者向けで、政府や業界のデータ消去基準を満たすものではない」と注記している点です。
機密性の高い情報を扱っていたなら、ソフトの消去だけで完璧と思い込まないほうがいいんですよね。
その場合はストレージ(SSDやHDD)を取り外して別途消去するか、物理的に破壊するのが最終手段になります。基板に直付けで外せない機種もあり、その時は基板ごと壊す必要があります。
筆者の考察:初期化トラブルが増える構造と、現場での選び方
ここからは、公式・メーカー情報を読み比べ、自分でも手順を再現してみた一人の生活者として、筆者としての踏み込んだ見方を書かせてくださいね。
まず「なぜ回復領域の破損がこれほど起きるのか」という点です。筆者としては、大型アップデートの繰り返しが大きいと考えています。年に一度の機能更新はパーティション構成に手を入れることがあり、回復パーティションの空き容量が足りずに更新がつまずく例は、相談の現場でも体感的に増えている印象です。普段は使わない領域だからこそ、壊れていても起動時には気づけず、いざ初期化という土壇場で破損が露見する——この「気づけなさ」が初期化不能の温床になっていると筆者は見ています。
次に「OEM回復イメージと汎用メディア、どちらを薦めるか」という実務判断です。筆者としては、メーカー製パソコンを使い続ける前提なら迷わずOEM回復イメージを推します。汎用メディアは確かに手早いのですが、専用ドライバーが入らず、再インストール後にタッチパッドやファンクションキー、指紋認証が効かないといった「あと一歩の不便」を招きがちだからです。逆に、自作機や中古で素のWindowsに戻したい場合は汎用メディアのほうが素直です。目的が「使い続ける」か「まっさらに戻す」かで、ここは分かれると考えています。
そして見過ごせないのが、Windows 11の24H2あたりからデバイスの暗号化が既定で有効になりやすくなった流れです。これは盗難時の情報保護という意味では前進ですが、裏を返せば「本人も気づかぬうちにBitLockerがかかっている」状態が増えたということでもあります。回復キーを控えていない人がある日突然キーを求められ、初期化どころか起動すらできなくなる——この構造的なすれ違いが、初期化トラブルの新しい火種になっていると筆者は危惧しています。
一方で、Windows 11の新しい復旧機能は、思想として優しくなってきたとも感じます。「問題が起きたら全消去」という乱暴な一択だった時代から、「必要な分だけ巻き戻す」方向へと復旧の発想が変わってきた表れだと筆者は受け止めています。
とはいえ新機能は対応バージョンでしか使えません。だからこそ結局いちばん効くのは、昔ながらの備えです。パソコンが動くうちに「Windowsバックアップの有効化」「BitLocker回復キーの控え」「回復ドライブの作成」という三点セットを済ませておく。動かなくなってから慌てて検索する時間を、元気なうちの15分の準備に回すだけで、未来のあなたはずいぶん救われるはずなんですよね。
まとめ
パソコンの初期化ができない・進まない時は、まず「起動するか・しないか」で原因を切り分けることが出発点でした。
起動するならアップデートで土台を整え、トラブルシューティングを経てから正しい手順でリセットする。起動しないなら回復環境を強制的に呼び出し、それも駄目なら外部メディアで再インストールする。
そしてBitLocker回復キーの確認と事前バックアップが、どの場面でも命綱になります。
エラーが出ても、それは「あなたの操作ミス」ではなく「パソコンからのサイン」です。慌てず、今いる状態に合った手を一つずつ選んでいきましょうね。
よくある質問
初期化が黒い画面で止まったように見えます。電源を切ってもいいですか?
基本的には切らないでください。Microsoftはリセット中に15分以上画面が暗くなる場合があるとしており、途中で手動再起動するとリセットが失敗する恐れがあります。ACアダプターをつないだまま待ちましょう。
BitLocker回復キーが分からないと初期化できませんか?
暗号化が有効だと、回復環境のほとんどの操作にこのキーが必要になります。キーが分からないと回復環境に入れても操作を完了できないため、Microsoftアカウントなどから事前に確認・控えておくのが安心です。
回復環境からも初期化できない時はどうすればいいですか?
回復領域が破損している可能性が高いです。HPのサポートが案内するように、DVDやUSBなどの外部メディアからWindowsを再インストールする方法を検討してください。メーカー提供の回復イメージが使えるなら、それが安心です。