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家庭菜園におすすめ!育てやすい早生さつまいも品種

家庭菜園のプランターと畑に育つさつまいものつると葉、収穫を待つ様子

「今年こそ家庭菜園でさつまいもを育ててみたい。でも品種が多すぎて何を選べばいいか分からない」——そんな方に向けて、結論からお伝えします。

家庭菜園デビューには、栽培管理がしやすく収穫時期が早めに来る「紅あずま」「鳴門金時」「べにはるか」あたりの早生〜中生品種がおすすめですよ。

さつまいもは登録されているだけでも60種類ほどあると言われていて、初心者さんが最初につまずくのはまさにこの「品種選び」なんです。

ひとつずつ理由を見ていきましょう。

さつまいもの「早生品種」とは?普通の品種と何が違うの?

早生品種とは、通常の収穫時期(9〜11月)よりも早い時期に収穫できる品種のことを指します。

栽培技術を紹介するウェブメディア「マイナビ農業」の記事のなかで、サツマイモ栽培に詳しい専門家として紹介されている解説者は、鳴門金時や紅あずまといった早生品種では「100日掘り(極早掘り)」という、植え付けから約100日という短い期間で収穫する方法が産地によって行われることもある、と説明しています。

早く収穫できるということは、それだけ栽培期間が短く、台風シーズンや長雨の影響を受けにくいというメリットがあります。

家庭菜園の場合、他の野菜との作業スケジュールが重ならないようにしたい、という方も多いですよね。

早生品種を選べば、収穫のタイミングを前倒しできるので、秋の農作業が集中する時期を避けられるのも嬉しいポイントです。

筆者としては、家庭菜園はプロの農家のように何ヘクタールも管理するわけではないからこそ、「短期決戦で終わらせられる」という早生品種の性質がそのまま気持ちの余裕につながると感じています。

産地の工夫に見る「早掘り」の実際

香川県坂出市で栽培されている「早掘りかんしょ」のように、地域によっては6月下旬から出荷される超早掘りの品種もあります。

坂出市はかつて塩田だった砂地を活かした栽培が盛んで、瀬戸内の温暖で降雨量の少ない気候がかんしょ栽培にぴったりなのだそうです。

こうした地域の工夫を見ても分かるように、栽培方法を工夫することで、同じ品種でも収穫時期を早めることができます。

使うマルチ資材によって収穫の目安は次のように変わってきますよ。

  • 透明マルチ:8月下旬から収穫可能
  • 黒マルチ:9月下旬から収穫可能
  • マルチなし:10月中旬以降が収穫の目安

家庭菜園でプランター栽培をする場合も、この考え方を応用して、少しでも早く収穫を楽しみたいなら黒マルチを使ってみる、といった工夫ができそうです。


品種を横断比較|皮色・収穫時期・耐病性・貯蔵性の一覧

まずは代表的な4品種の特徴を一覧で見てみましょう。細かい違いを比べたい方は、ここだけ読んでもらっても大丈夫です。

品種 皮色・肉色 収穫時期の目安 耐病性の傾向 貯蔵性
紅あずま 濃い赤褐色/黄色 9〜11月(10月が最盛) 黒斑病にやや弱い やや難しい
鳴門金時 赤紫/淡黄白 9〜10月 立ち枯れ病・ネコブセンチュウにやや弱い 優れる
べにはるか 赤紫/淡黄白 9月下旬〜10月上旬 ネコブセンチュウ・つる割病にやや強い 良好(熟成向き)
あまはづき 赤紫系(新品種) 8月〜(早掘り向き) 複合病虫害にやや強い 低め・早食い向き

こうして並べてみると、「病害虫に強く扱いやすいか」「保存がきくか」という軸で品種ごとの個性がはっきり見えてきますね。

次の章から、それぞれの品種を詳しく見ていきましょう。


家庭菜園の初心者に一番おすすめの品種は「紅あずま」

ホームセンター向け園芸情報サイト「となりのカインズさん」の記事を監修する園芸家は、さつまいもの品種のなかでもっとも育てやすいのは「紅あずま(ベニアズマ)」だと紹介しています。

紅あずまは茨城県や千葉県など関東を中心に栽培されている定番品種で、これまで青果用サツマイモの国内生産量トップを誇ってきました。

皮は濃い赤褐色、肉色は黄色で粉質、甘みがやや強く、形は長紡錘形(ながぼうすいけい)です。

収穫時期は9〜11月頃とされていますが、肥大が早い傾向があり、もっとも収穫が盛んになるのは10月頃だと言われています。

栽培のしやすさという点では、苗(挿し穂)の入手のしやすさも大きな魅力です。

例年4月下旬頃になると種苗店やホームセンターで植え付け直前の苗が販売されるので、購入してそのまま定植できます。

良い苗を選ぶコツは、全長25〜30cmで節が7〜8個あり、節間が間延びしておらず、全体に勢いがあるものを選ぶこと。

茎は太く、葉は5〜7枚付いていて、厚くて広く、濃い緑色のものが理想的です。

ただし紅あずまには弱点もあって、黒斑病にやや弱く、貯蔵性はやや難しいとされています。

収穫したらなるべく早めに食べきる、または適切な温度(13〜15℃)で保存することを意識するとよさそうですね。

筆者としては、この「入手しやすさ」こそが初心者にとって一番のハードルの低さだと感じています。

苗選びに自信がなくても、店頭で流通量が多い品種なら、比較的良い状態のものに出会いやすいからです。

もし紅あずまを選ぶなら、収穫後2週間以内を目安に食べきる計画を立てておくと、味も安心感も両方キープできると思いますよ。


西日本なら「鳴門金時」、貯蔵性も収量も安定した優等生

徳島県などで作られている「鳴門金時」も、家庭菜園向けの品種としておすすめです。

1945年に登録された「高系14号」という品種から派生したもので、西日本を中心に栽培されています。

鳴門金時の収穫の最盛期は9月から10月で、肥大が早い傾向があります。

肉色は淡黄白で変色しにくく、上品な甘さが特徴です。

なにより家庭菜園の視点でうれしいのは、収量や品質が安定していて、貯蔵性にも優れているという点。

せっかく育てたのに保存中にダメになってしまった……という失敗が少ないのは、初心者にとって心強いポイントですよね。

病害虫については立ち枯れ病とサツマイモネコブセンチュウにやや弱い面があるので、連作を避け、健全な苗を選ぶことが大切です。

瀬戸内海に面した徳島県では、海のミネラルを豊富に含む砂地で鳴門金時が育てられており、なかでも「里むすめ」というブランドは、上品でさっぱりとした甘さと美しい見た目から、産地の生産者団体によって和食店向けの高品質ブランドとして位置づけられていると紹介されています。

家庭菜園で挑戦する場合も、水はけのよい土づくりを意識すると、この上品な甘さに近づけるかもしれません。

筆者としては、紅あずまとべにはるかの間で迷ったときこそ、鳴門金時が「保存のしやすさ」という決め手になる品種だと考えています。

一度にたくさん収穫しても慌てて食べきる必要がなく、少しずつ料理に使い回せるのは、忙しい毎日を送る方にとって地味に大きなメリットだと感じます。


甘さも育てやすさも欲しいなら「べにはるか」が近年の人気No.1

2007年に品種登録された「べにはるか」は、登録直後から人気が高まり、農林水産省の統計などをもとにした業界の報告でも、近年は生産量で紅あずまを上回る年が出てきていると言われるほどの人気品種です。

大分県、宮崎県、茨城県などを中心に栽培されており、収穫時期は九州など暖かい地方で9月下旬から、本州では10月初旬頃からとなります。

※画像はAIによるイメージ

皮色は赤紫、大きさは中程度の紡錘形で、形状や大きさが揃いやすく商品化率が高いのも特徴です。

さらに「サツマイモネコブセンチュウ」や「つる割病」にやや強い性質を持っているため、病害虫の心配が比較的少なく、家庭菜園でも扱いやすい品種だと言えるでしょう。

味わいの面では、2カ月以上貯蔵することで熟成が進み、甘みが非常に強くなるのが最大の魅力。

収穫直後は甘さ控えめでホクホクとした食感ですが、熟成させることでねっとり系の濃厚な甘さに変化していきます。

焼き芋はもちろん、干し芋の原料としても優れているので、収穫の楽しみを長く味わいたい方にはぴったりの品種です。

個人的には、べにはるかは「育てやすさ」と「待つ楽しみ」を同時に味わえる、家庭菜園にちょうどいい品種だと感じています。

収穫してすぐ食べるのではなく、2カ月ほど寝かせるという工程自体が、栽培の延長線上にある体験として楽しめるからです。

初めての方には、収穫日をメモしておいて熟成期間をカレンダーで管理する、というくらいの気軽さで取り組んでもらうとよいと思います。


育てやすさを左右する栽培のコツと収穫のタイミング

品種選びと同じくらい大切なのが、栽培中の管理と収穫のタイミングです。

さつまいもは肥料が多すぎると「つるぼけ」と呼ばれる、葉や茎ばかり茂って肝心のイモが育たない状態になりやすい作物です。

もともとやせた土地でも育つ性質があるので、追肥は基本的に不要で、葉が黄色くなってきたときだけ与えるくらいで十分とされています。

栽培スケジュールの目安としては、苗の植え付けが5月中旬〜6月中旬、収穫が9月中旬〜11月中旬頃です。

植え付けから収穫までは110〜150日程度かかると考えておくとよいでしょう。

収穫のタイミングを見極める方法として、9月下旬になったら畦の中に手を入れてイモの大きさを直接確認する「さぐり掘り」がおすすめです。

ちょうどよいサイズのイモだけを収穫し、まだ小さいと感じたら土に戻してあげることもできます。

収穫が早すぎるとイモが小さく収量が落ち、逆に遅すぎると大きくなりすぎて変形したり、亀裂や空洞が入ってしまうこともあるので、焦らず様子を見ながら判断することが、おいしいさつまいもを収穫する近道ですよ。


早掘りでも甘い「あまはづき」って何が違うの?

紅あずま・鳴門金時・べにはるかの3品種に加えて、最近登場した新品種にも触れておきたいと思います。

農研機構が開発した「あまはづき」は、8月の収穫直後からねっとり甘い焼き芋が楽しめることを目的に育成された品種です。

従来の高糖度品種「べにはるか」は、収穫直後は甘みが弱く粉っぽい食感になりやすく、おいしく食べるには一定期間の貯蔵が必要でした。

そのため早くても9月下旬の出荷になってしまうという課題があったのです。

あまはづきはこの弱点を克服するために開発された品種で、「低温糊化性でん粉」という特殊なでん粉を含んでいるのが特徴。

通常の品種よりも低い温度からでん粉が糖へ変化するため、貯蔵しなくても収穫直後から糖度が高く仕上がるのだそうです。

早掘り栽培をすることで、この甘さの強さがより際立つとされており、2022年春から関東地方を中心に民間種苗会社を通じて苗の供給が始まりました。

サツマイモネコブセンチュウへの抵抗性が強く、つる割病や黒斑病への抵抗性もやや強い、複合病虫害抵抗性品種でもあります。

ただし供給が始まってからまだ日が浅い品種のため、種苗店やホームセンターでの流通量は紅あずまやべにはるかほど多くはなく、入手できるかどうかは地域差が大きいのが正直なところです。

加えて貯蔵性は低めで長期保存には向かないため、収穫したらなるべく早めに味わうスタイルの品種だと理解しておくとよいでしょう。

筆者としては、あまはづきはまだ「主役級」の3品種と同列に語れる段階ではないものの、早生品種というテーマの延長線上にある注目株だと捉えています。

手に入る地域であれば、家庭菜園の新しい選択肢として試してみる価値がありそうです。


考察:家庭菜園には「早く・安定して・失敗しにくい」品種を

ここまで複数の品種を紹介してきましたが、筆者としては、家庭菜園でさつまいも栽培に挑戦する場合、味の好みだけでなく「病害虫への強さ」と「貯蔵のしやすさ」を基準に品種を選ぶことが、結果的に育てやすさにつながると考えています。

というのも、家庭菜園は農家のような大規模な防除設備や管理体制を整えにくいものです。

だからこそ、もともと病害虫に強い性質を持つ品種を選ぶことが、初心者にとっての「保険」になるのではないでしょうか。

その意味で、貯蔵性に優れ収量も安定している鳴門金時や、ネコブセンチュウ・つる割病にやや強いべにはるかは、初めての栽培でも扱いやすい選択肢だと感じます。

紅あずまは育てやすさで定評がある一方、黒斑病や貯蔵性にはやや注意が必要なので、収穫後は早めに食べきる、もしくは適切な温度管理を意識するとよさそうです。

個人的には、べにはるかが紅あずまに肉薄する人気を集めてきた背景には、単に甘いから、という理由だけでなく、家庭菜園ブームのなかで「病害虫に強く失敗しにくい」品種が支持されやすくなったという流れもあるのではないかと見ています。

SNSなどで家庭菜園の様子を発信する人が増えたことで、失敗しにくさそのものが選ばれる理由になってきている、というのは筆者の実感でもあります。

また、あまはづきのような早掘り栽培に強い新品種の登場は、家庭菜園の可能性を広げる動きだと感じます。

9月下旬まで待たなくても甘い焼き芋が味わえるというのは、待ちきれない気持ちを抱える家庭菜園愛好家にとって、大きな魅力になるはずです。

ただし前述の通り、まだ苗の流通量は限られているため、今年すぐに手に入るとは限らない点は理解したうえで探してみてほしいと思います。

今後もこうした「育てやすさ」と「早く楽しめること」を両立させた品種が増えていけば、家庭菜園でのさつまいも栽培はますます身近なものになっていくのではないかと、筆者は見ています。

※画像はAIによるイメージ

まとめ

家庭菜園でさつまいもを育てるなら、まずは育てやすさに定評のある紅あずまや、貯蔵性・収量が安定している鳴門金時、病害虫にやや強く人気の高いべにはるかから検討してみるのがおすすめです。

早生品種を選べば収穫時期を前倒しでき、他の野菜との作業スケジュールも組みやすくなります。

苗選びは全長25〜30cmで節が7〜8個、勢いのあるものを基準に。

追肥は控えめにし、収穫時は「さぐり掘り」でイモの大きさを確認しながら、焦らずタイミングを見極めましょう。

品種ごとの特徴を知ったうえで、自分の環境や好みに合った一品を選べば、きっと秋の収穫が待ち遠しい家庭菜園になりますよ。


よくある質問

家庭菜園初心者にはどの品種が一番おすすめですか?

苗が入手しやすく栽培管理がしやすいという点で、紅あずまが定番のおすすめです。

ただし黒斑病にやや弱く貯蔵性がやや難しいので、収穫後は早めに食べきるか適切な温度で保存するとよいでしょう。

病害虫への強さを重視するなら、べにはるかや鳴門金時も選択肢になります。

早生品種を選ぶメリットは何ですか?

通常より早い時期に収穫できるため、栽培期間が短くなり、台風シーズンや長雨の影響を受けにくくなります。

また他の野菜の作業スケジュールと重なりにくくなるのも、家庭菜園ならではのメリットです。

さつまいもの収穫時期はどうやって見極めればいいですか?

茎や葉のつやが失われ、緑色が薄くなり始めた頃が目安です。

9月下旬以降は畦に手を入れてイモの大きさを直接確認する「さぐり掘り」を行い、ちょうどよいサイズのものだけを収穫するとよいでしょう。

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